卒業証書授与式
本日、卒業証書授与式を執り行いました。223名の卒業生が本校を巣立っていきました。本校生徒の育成にあたり、これまでご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。心より感謝申し上げます。
【校長式辞】
3月に入り、思わぬ雪に見舞われましたが、梅が咲き誇り、季節は確実に春へと移り変わっています。
本日は、ご来賓のPTA副会長、学校評議員の皆様をはじめ、保護者の皆様、在校生らとともに、かくも盛大に第46回卒業証書授与式を挙行できますことを、誠に嬉しく存じます。本校を代表し、深く感謝申し上げます。
ただ今、卒業の呼名をし、卒業証書を授与いたしました223名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
上尾南高校は、再来年に50周年を迎えます。卒業生の総数は皆さんを含めて、14、597名となり、多くの先輩方が地域を中心に活躍しています。地域の企業や教育機関、行政との連携の中で、「私は上尾南高校の卒業生です。」とおっしゃる方に出会う機会も多く、上尾南高校の絆を感じることができます。本校にも、皆さんの先輩が勤務しており、卒業生との繋がりが広がっていくことに嬉しさを感じています。
振り返れば、皆さんが入学した3年前は、新型コロナ感染の影響が残っていて、不安の中で高校生活が始まりました。学級閉鎖になったり、部活動の練習や大会出場に制限がかけられたりしたこともありました。しかし、2年生の5月に制限が緩和され、少しずつ、現在の状況に近づいてきました。
その中で、本校で今も語られ続けている修学旅行の取組の様子は、皆さんの素晴らしさを象徴しています。「旅行先の観光大使として、誰かを幸せにする旅行企画をフィールドワークする」というテーマで探究活動を行い、その発表が立派であったと評価を得ました。
また、本校で初めて取り組んだ教員の引率なしでの班別行動では、広島の宮島から大阪までの移動において、全員が遅刻なく移動を完了するという実績を残しました。生徒に任せれば、立派にやり遂げることができるということを示してくれました。まさに、上尾南高校の新しい歴史ができあがった瞬間でした。
さて、皆さんは今日高校を巣立っていきます。卒業後の進路に期待を膨らませていることと思いますが、これから先の人生の長い道は、平坦で歩きやすい一本道とは限りません。分かれ道や曲がり角があり、霧に包まれ先が見えない時もあれば、険しい山道もあります。しかし、寄り道しながら進むことで、楽しいこともたくさんあるでしょう。道端に咲く花など季節の変化に感動したり、様々なことに好奇心を持っていれば、新しい発見があったりするのではないでしょうか。
小説「赤毛のアン」で、主人公のアンは、こう語っています。
「私は曲がり角のある道が大好きだ。次の角を曲がったら、一体どんな景色なのか、どんな人と出会い、どんな出来事が待っているのか、わくわくする。」と。
曲がり角のある人生を楽しいと思うか辛いと思うか、受け止め方はその人次第でしょうが、人生失敗なく真っすぐに進むことなんて、まずあり得ません。どんなに成功している人でも、たくさんの失敗をしているし、困難な局面を乗り越えています。人生、先が予測できないから面白い。仲間と苦楽を共にしながら進んでいけば、そこには成長した自分たちがいる。キラキラときめく素晴らしい世界があるのではと思います。
そして、若い頃の情熱は何より力強いものです。青春時代にしかできないことがある。「若い人たちは教えられるより刺激されることを欲する。」と言われます。真っすぐな道は、マンネリ化するだけで、曲がりくねった道こそ、人生に興奮をもたらしてくれるものです。
そうは言っても、曲がり角の先に何があるのか、皆さんが不安を感じるのは当然です。3学期の学年集会で学年主任の先生が、「皆さんの人生の長さを1日に例えると、まだ、朝の5時過ぎである。」と話されたのを覚えていますか。皆さんはまだ成長の途中であり、自分自身の力も氷山の一角しか見えていません。真の能力は、これから少しずつ姿を現してくることでしょう。
どうか失敗を恐れないでください。
先日の予餞会で、在校生が歌ってくれた「栄光の架橋」は、オリンピックの応援ソングとして知られていますが、実は、栄光を称える歌ではなく、挫折を味わって、そこから復活していく歌です。「ゆず」のお二人は、この曲について、「勝者の歌ではなく、敗者の歌を書こうと思った。僕たちは成功もしているけど、惨めな思いもたくさんしている。だから、いろいろな思いを書こうと思った。」と語っています。辛い経験をして、そこから復活してきているのは、選手だけではない。私たちも一緒です。私たちの人生と重なるからこそ、愛される曲になったのでしょう。
人生は、思いどおりにならないのは当たり前です。失敗や挫折を恐れずに、持てる力を最大限発揮し、挑戦していきましょう。夢の実現に向けて、粘り強く努力を重ね、自らの人生を切り拓いていってください。
卒業生の皆さんが、私たちとともに上尾南高校で過ごすのは今日が最後となり名残惜しい思いでいっぱいです。しかし、上尾南高校で過ごした3年間は「一生の宝物」です。これからも、励まし合い笑いあった仲間とともに、自信をもって、一歩一歩突き進んでいってください。
そして、進むべき道に迷った時、周りの人からアドバイスを受けることもあるでしょう。その際、「最後の答えは自分で見つける」ことを習慣にしてください。曲がり角の先には、きっと素晴らしい世界が待っていることでしょう。
卒業生の皆さんの輝かしい未来と、これからの活躍を心から祈念し、式辞といたします。
令和7年3月8日
埼玉県立上尾南高等学校長 秋元 俊一